昨日の続き

2001年1月22日
昨日の続き。

大学では「ガン転移の抑制」の研究をしていた。
私がやっていた仕事ではないのだけれど同じ
研究室で「キチンによるガンの転移効果」の
研究をしていた。
蟹の甲羅などに含まれるキチンをいろいろ
いじくってみてその中の一つに実験的には
癌の転移抑制効果のある物質が見つかった。
大学での実験であるからもちろん動物実験で
効果が出たという段階で論文や学会で発表した。

そして、その後・・・
研究室にはたびたび全く知らない人々から
電話がかかってくるようになった。
末期がん患者を抱える家族たちからだ。
私も数回電話を受けてしまったことがあるが
皆本当に必死だ。
動物実験上効果が出てるだけで安全性も人での
効果も何も保障がない、そんなものを人に使う
わけにはいかない、そんなことをしたらこちら
が罪に問われる、といくら説明しても
電話を切ってはくれない。
ウチの人を実験台にしてくれてもいい、もし
効果がでなくたってかまわない、もちろん
内緒で飲ませますと、どの家族も同じ
反応をしてくる。
もう手の施しようがなく死ぬのを待つしかない
患者を抱えた家族ならそう思うのは当然だろう。
しかしみんな一縷の望みを抱いてわずかでも可能性の
ありそうなものにすがろうとするのだ。
冷静な状態であれば研究段階(にもならない)の
薬を人間に使うわけにいかないことは誰でも
理解できるだろう。
それなのに必死になって大学の研究室に電話を
かけてくる家族がたくさんいるのだ。

昨日のような番組でいたずらに期待をもたせる
ような放送がされることに怒りを感じる。
実現できなくてもかまわない話題と同列に
扱ってはいけないのではないだろうか。

裏話1
大学にそんな電話がかかるようになったきっかけは
どこぞの悪徳業者が「癌が治るキチン」とかいって
怪しい健康食品を売り歩いていたことが原因らしい。
本当に迷惑。

裏話2
ある日かかってきた電話
「警察の者ですけど」
「・・・・・」
偽健康食品でも検挙されてこっちにまで
とばっちりが来たのかと思い一同びっくりした。
ところが、「警察」はなにも関係がなく
その人も癌患者の家族の一人だったのだ。
ったく、なんで「警察の者」なんて名乗るんだよ。
警察と言えばこっちがビビるとでも思ってんのか?

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